大人の矯正

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矯正歯科と審美歯科

 矯正歯科 と並んで、美しい口元・歯並び・歯 を獲得する歯科治療に 審美歯科 というものがあります。
それぞれ特徴があり、治す場合にどちらかが100%正しいとか言う事はありません。  どんな治療法にもメリット&デメリットがあるものです。
決して、矯正をしたいとか、審美歯科をしたい、訳ではなく、『きれいな口元になりたい!』というのが目的であって、 矯正歯科 とか 審美歯科 とかいうのは、目的を達成する為の手段に過ぎないはずです。  必要なら、良い所取り だって構いません。

 歯を白くしたり、笑うと見える銀歯を白い歯にしたり、とかは当然ですが、審美歯科でしか治せません。
ここでは、歯並びを治す場合に審美歯科的なアプローチを考える という視点で解説します。

矯正歯科と審美歯科のメリット&デメリット

矯正歯科のメリット

  ・抜歯せずに治すことが出来ることもある。
  ・治療後に残っている歯は、削られていない歯である。
  ・抜歯される歯以外は、無傷である。
  ・基本的にどんな歯並びでも治せる。
  ・前歯の根元の骨の部分から変化します。

矯正歯科のデメリット

  ・治療期間が長い。
  ・期間中ずーっと矯正装置が歯に付いている。
  ・治療のために抜歯することが多い。
  ・装置の違和感や歯磨きが大変。
  ・治療後も歯の色や形は変わらない。

審美歯科のメリット

  ・治療期間が短い。
  ・治療中も仮歯で見た目は審美的に維持されている。
  ・何かの装置が付いたりしない。
  ・抜歯せずに治すことが出来ることもある。
  ・合わせて歯を小さくしたり、白くしたりなども出来る。

審美歯科のデメリット

  ・治す部分の歯は全て削らなくてはいけない。
  ・治療のために抜歯することもある。
  ・差し歯は作り物なので絶対に一生持つ、という訳ではない。
  ・守る為に、自分の歯だけの時よりも気を使う必要がある。
  ・治せる歯並びには限界がある。
    (歯の絶対的な位置には変化が無い)
  ・前歯の根元の骨の部分は変化しない。

矯正歯科と審美歯科のアプローチの違い

 矯正歯科審美歯科 も、最終的に求めるものは同じです。
ここでは、もっとも大事な口唇と歯との関係に絞って説明しましょう。

 上の前歯の先端(切縁)と奥歯の外側の先端(頬側咬頭頂)を結ぶ仮想線(facial cusp line)を想定して、口唇と歯の関係を評価します。

 @ 上の前歯の切縁は瞳孔線や下口唇と水平関係にあるか?
 A 微笑んだ時に上の前歯の切縁は下口唇が作るスマイルラインに沿っているか?
 B 奥歯に行くに伴って歯の見える状態が漸減しているか?
 C Buccal corridor (微笑んだ時に出来る口角と歯との間の暗く見える空間)が存在するか?
 D 前歯の歯肉が描くラインがガル状に(カモメの翼のように)連続しているか?
 D 以上の5項目が顔面正中を境に左右対称であるか?
                    口唇と歯との参考線の関係

 上記の目標を達成するためにどうするか!? です。
矯正歯科 の場合は、あまり考える必要はありません。  普通に矯正治療を行えば、自動的に達成されてしまうからです。
問題は 審美歯科 の場合です。
上記の目標を達成するのに必要な範囲の歯を削ります。  その上で、その歯が存在することで邪魔(?)になる歯を抜歯して、処置の自由度を上げるのです。
必要に応じて、目の錯覚を利用することも考えます。

 もう一つの考え方として、矯正歯科と審美歯科の良い所取りをしよう!というものがあります。
矯正によって歯の位置関係を整え( 同時に歯肉のラインも整えて)、その後、歯のレベルで審美歯科を行い、一気に改善しようというコラボレーションとも言うべき処置法です。  上手く行けば、抜歯しないで済んだり、非常な短期間で治ったり、することも可能です。  前歯が既にさし歯などになってしまっている場合も、一考に値すると考えます。 

アプローチの違いの実際

 では、分かりやすく、前歯6本のシンメトリー(対称性)の獲得に絞って考えみましょう。  ( 一般論です )

 例えば、八重歯を治したい という希望があった場合に、

矯正歯科 であれば、
          八重歯の奥の小さい奥歯を抜歯して、その隙間に犬歯(八重歯)を矯正移動させて、前歯の見た目を審美的にします。
          上の歯だけの部分矯正を行ったとしても、半年から1年は治療期間を要します。

審美歯科 であれば、
          八重歯そのものを抜歯して、前後の歯を削って大きさを整えて、前歯の見た目を審美的にします。
          治療期間中は仮歯を装着して、その形態を修正しながらステップを進めて、
          抜歯後の治りを待って、3,4ヶ月ぐらいの治療期間を要します。

 今度は、上の前歯が出ているのを引っ込めるということを考えて見ましょう。

矯正歯科 であれば、
          犬歯の奥の小さい奥歯を左右1本ずつ(計2本)抜歯して、矯正治療を開始します。
          治療期間は最低でも1年はかかるでしょう。

審美歯科 であれば、
          出ている前歯を削って必要なら神経を取り、引っ込めた状態で仮歯を装着して、
          治療に着手したその日のうちに見た目を大きく改善します。
          その上で、仮歯の形態を修正しながらステップを進めて、2ヶ月ぐらいの治療期間で審美性を獲得します。

審美歯科で歯並びを治した治療例

 審美歯科治療例.1  八重歯が気になって治したい!

               矯正装置を絶対に付けたくない! という強い希望でした。
               八重歯を1本だけ抜歯して、前後の歯を削って、審美歯科的に歯並びを治すことにしました。

 審美歯科治療例.2  上の前歯が出てるのを治したい!

               少しでも早く治したい。  ご両親ともお話をして矯正はあまり考えていない。
               出ている前歯を削って、審美歯科的に歯並びを治すことにしました。
                (抜歯はしていません)

 審美歯科治療例.3  前歯が1本反対になっているのを、結婚式までに治したい!

               とにかく結婚式までに治したい。 あと3ヶ月・・・。
               先ず、前歯の位置を矯正で整えて、その後にセラミック・クラウンを装着して審美歯科的に治しました。
               矯正歯科と審美歯科のコラボレーションで治した一例です。  

 上のどの治療例であっても、矯正歯科治療だけで治そうと思えば、治せるものばかりです。
そんななか、 矯正歯科審美歯科 のメリット&デメリットを自分で考えて、審美歯科で治した治療例になります。


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